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亡くなった人の枕元に供えられ、遺族と一緒に葬儀が終わるまで悲しみを分かち合うとされる枕花。したがってお通夜が始まる前までに枕花を贈るのが一般的です。ただしお通夜の前であればいつでも枕花を贈って良いという訳ではありません。亡くなってすぐに枕花を贈る行為はマナー違反です。亡くなるのを待っていたと受け取られかねません。枕花を贈る人は、血縁関係のある親族や故人と生前の関係性が深かった人に限られます。贈る方法は2種類あります。まず自分で遺族の自宅に持参する方法です。遺族にお悔やみの言葉を述べてから枕花を贈りましょう。持参するときの服装は、必ず喪服ではなく平服にしてください。なぜならば、喪服を着ていくとあらかじめ故人の死亡を見越していたと捉えられるからです。ただし平服といっても、男性はダーク系のスーツ、女性は露出の少ない落ち着いた色合いのワンピースやパンツスタイルで枕花を持参してください。
遠方に住んでいる人やすぐに持参することが難しい人は、業者に依頼して枕花を配送してもらうという方法があります。枕花の配送は葬儀社や花屋が受け付けています。配送で気をつける点としては、遺族の許可が必要なことです。こぢんまりとした家族葬などを予定している遺族は、花そのものを辞退している場合もあります。また配送先も注意しなければなりません。故人が自宅にいるとは限らず、近年では葬儀社の安置所で眠っている可能性もあります。枕花は故人の側に供えられるものですから、配送先は故人のいる場所に贈る必要があります。遺族や葬儀社に連絡し、よく確認してから配送しましょう。宛名は故人名ではなく喪主の名前、喪主がまだ分からない場合はご家族宛にします。贈る際にメッセージカードを添付してもいいでしょう。お悔やみの言葉や故人との在りし日の思い出を、丁寧にかつ簡潔に書き記してください。
枕花の相場は1万円から2万円と言われています。故人や遺族との関係性の深さを考慮して、適切な価格を選んでください。枕花はアレンジメントされた盛花や籠花の状態で贈るのが適切です。花束で贈ると花瓶に活ける必要が生じ、忙しい遺族の手間が増してしまいます。盛花などであれば配置が簡単に済みますし、お通夜や葬式に持ち運ぶのも便利です。かつては左右対称の枕花を2基用意して、1対の枕花として贈るのが一般的でした。ただし近年では葬儀の規模が縮小傾向にあることから、1基贈れば良いとされています。
枕花で使われる花は、かつては白い花が一般的でした。枕花はお通夜や葬儀に飾られるため、なるべく儀式と調和した色合いの花が要求されるからです。ただし近年では寒色系の色合いがする花や、生前故人が好きだった花を贈るケースが増えています。ただしバラなどの棘がある花やお通夜に相応しくない派手な色のする花、香りが強い花は避けましょう。枕花を選ぶ際には、花言葉を意識して贈るとより効果的です。「高貴」・「高尚」を意味する白い菊、「純潔」・「威厳」を意味する白いユリ、「真実の愛」・「尊敬」を意味する白いカーネーション、「美しい女性」・「優美」を意味する白い洋蘭、「純潔」・「名誉」を意味する白いラナンキュラス、「純粋な愛」を意味する胡蝶蘭などが人気です。また葬式が終わるまでの長期間飾ってもらうことを想定して、カサブランカなどの日持ちしやすい花や、加工されたブリザードフラワーを枕花として贈ることが増えています。
枕花を贈る際にはいくつかの注意事項があります。まず遺族の宗派・風習を確認しましょう。宗派によって適切な枕花は異なります。仏教や神道では菊やユリなどの花が相応しく、キリスト教ではカーネーションや洋蘭などの洋花が適切です。また地域の風習によっては枕花を飾らない場合もあります。必ず確認してから枕花を選びましょう。
次に必ず遺族や葬儀社に連絡してから枕花を贈りましょう。故人が眠る自宅や安置所によっては、スペースの問題で枕花を制限している場合があります。連絡をせずに突然枕花を贈ると、かえって遺族の迷惑になりかねません。また葬儀社によっては、自社で扱う枕花を指定したり、特定の業者の枕花のみ受け付けている場合もあります。枕花を贈ったのに受け取ってもらえないということがないようにしましょう。
最後に枕花には名札を付けないのが一般的です。名札を付けるのは供花です。ただし地域によっては付ける慣習があるので、贈る前に確認しておきましょう。
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