「家族葬」と「密葬」の違いとは?

実際にお葬式を行う時になって…

「家族葬」と「密葬」の違いとは? class=
家族や親しい知人の死は大変悲しいことですが、故人への愛情と感謝を表して彼岸へ送り出すのは残された者の義務だと言えます。
お葬式とはそのためのセレモニーだと位置づけられますが、その際、どのような形態でお葬式を執り行うのかということが問題となってきます。故人の生前の意向や業績、遺族の環境、場合によっては金銭事情などによって決められることがほとんどですが、昨今は家族葬という葬儀形態が選ばれることが増えてきました。
この家族葬については「家族の内々で済ませるコンパクトな葬儀」といった印象を持つ人も多くいますが、それでは同じように簡素な葬儀のイメージを持たれることが多い密葬と何が違うのか、その相違点について正しく把握できていない人がその大半でしょう。
実際に葬儀を挙行しなければならない場面に直面した際、どのような形態の葬儀が妥当なのかを判断する上で家族葬と密葬がどう違うのかを正しく把握しておき、より良い葬儀が挙げられるように心構えしておきましょう。

家族葬とは?密葬とは?

家族葬とは一般的に持たれるイメージと大差が無い葬儀だと言えるかもしれませんが、それに対し密葬の場合は葬儀の様態などにおいて一般的イメージとはかなりかけ離れています。
密葬とは「他人には知らせずに密かに行われるお葬式」というよりは、1ヵ月後などに本葬を挙行することを前提として事前に行われるお葬式のことを指します。生前に大きな業績を残したような人の場合、その葬儀は大変多くの人が参列することが予想されます。そのようなお葬式にはかなりの準備を要することになりますので、そうした大規模な葬儀の準備が整う前に故人を事前に荼毘に伏しておくというのが密葬の意味合いになります。従って密葬では内々の家族や知人のみで通夜から葬儀、火葬まで執り行っておき、その遺骨の前で後日本葬やお別れの会などを行うのです。
基本的に密葬は後日の本葬とセットで行われるため、密葬単体では簡素であっても、本葬まで含めると大規模で諸経費も大きくかかる場合が多々あります。

家族葬を行うメリット

本葬を行うことが前提となっている密葬と違い、家族葬は完全に家族や親しい知人のみで行われる内々の葬儀になります。通夜から葬儀、火葬を行う流れは変わりませんが、場合によって簡単な告別式を行うことがある程度で、基本的には周囲にはあまり知らせずに葬儀を済ませます。
最近、この家族葬は挙行するに当たっていくつかのメリットがあるとして多く選ばれている現状があります。まず一番のメリットは、家族や知人だけで故人を送り出すことで故人との親密性を確認することができ、より気持ちがこもった葬儀が行えるというものです。親しければ親しい家族ほど、生前受けた愛情や恩情を深く顕彰したいと思うはずであり、家族葬はまさにそうした要求に応えることができる葬儀形態だと言えるでしょう。
また、参列者を絞ることで葬儀にかかる負担を抑えることができるという点も家族葬のメリットの一つです。やはり家族を亡くした後は心身ともに憔悴してしまい、可能であれば葬儀にかかる労力は軽く抑えたいと思うのが人情です。家族葬はそうしたニーズにも即することができます。

家族葬をする上での注意点とは?

一方で家族葬を行う上で注意しておかなければならない点もあります。
まず、一般に家族葬はコンパクトにすることでかかる費用を抑えることもできますが、参列者が絞られることにより香典による葬儀費用の補填が上手くできない場合もあります。そのため費用を抑えようと家族葬にしたのに、結果的に多くの費用がかかってしまったということにもなりかねません。※家族葬の費用例
また、予想外に参列者が押しかけて人員や設備的に対応できない状況に陥ってしまう場合もあります。新聞などに告知を出す場合、「一般の参列はご遠慮願います」などの注意文は必ず付加するように心がけましょう。
家族葬には、参列者間で上手く意思疎通がなされていないことで、「しっかりとしたお別れができなかった」というクレームが発生することもままあります。早急に家族葬に決めるのではなく、しっかりと家族・親族・知人の間でどのように故人を偲ぶのかという意見をすりあわせた上で葬儀形態を決めるのがベストだと言えます。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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