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実際あったのが、爆笑問題の太田光さんが実母の葬儀で述べた弔辞。最初の一言目からいきなり笑いを取ろうとする言葉で始まりましたが、さすがに笑いが起こることはなく、微妙な空気が漂っていたようです。
そのほかにもお笑いというカテゴリーで仕事をしている人たちの弔辞では、笑ってもいいのか分からないような話を耳にすることが多いのですが、このような弔辞は本当に不謹慎と言えるものなのでしょうか。
弔辞という言葉の意味は、亡くなった人を悼む言葉。悼む言葉はそれぞれにあります。ですから「お笑い」と聞こえる言葉が、芸人本人や芸人を一番よく知る家族に対して掛けられる言葉であるとすれば、それは「お笑い」ではなく、弔辞と言えるものでしょう。先述した太田光さんの弔辞も、全体として弔辞を聞けば、お母様への気持ちがこもったもので、参列者の心をうつものとなっていました。
弔辞は基本として3分程度で終わるもので、文字数にすれば約800文字から1000文字くらいです。忌み言葉と言われる「重ね重ね」や「たびたび」などの繰り返し言葉や「切る」「離れる」などの不吉なことを連想させる言葉を使わないことが大切なことです。
また、直接的すぎる「死んだ」や「急死された」などの言葉は、「亡くなられた」や「突然のこと」などと言い換えることが必要です。これは悲しみに沈んでいる遺族や参列している方々への配慮と言えるものです。
このような常識と言われる弔辞と比較すると、爆笑問題の太田さんの弔辞は笑いをとろうとしていても、一般的なマナーからはそれほどかけ離れておらず不謹慎だとは言えないものともいえます。ただ、不謹慎といわれてしまう理由として考えられることとすれば、参列者側が笑っていいものか迷ってしまう点があったことにあると言えるでしょう。
基本的に葬儀は故人の知人や親族など、喪主をはじめとするゆかりの深い人が中心となって行われるものです。近年、その葬儀の形には一般的なものから家族葬などと様々なものがあります。
例えば家族葬などは、本来たくさんの人で故人を見送る形であった葬儀を、家族のみで静かに見送りたいという意向から生まれたものです。
この家族葬の趣向にもみられるように、故人と喪主や遺族との間柄にしか分からない繋がりがあった上での弔辞も多くあり、その中には故人と親しいからこそ、あえてユーモアを交えるものも珍しくありません。そう考えると、弔辞で笑ってはいけないと変に固く考えたりタブー視する必要もないことでしょう。
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