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これまで著名人が生前葬を行う例はいくつかありましたが、近年では一般の人びとの間でも注目されています。その背景のひとつに、「終活」の流行をはじめとする、死をめぐる社会背景の変化があります。
近代日本においては、死はタブーとみなされ、敬遠される対象でした。しかし少子高齢化が進み、高齢者人口が激増するなか、若い世代に負担をかけず臨終を迎えようとする意識が高まっています。これが、エンディングノートなどに代表される「終活」へとつながってきました。
死への意識は、周囲へ迷惑をかけないという消極的な方向から、自己実現の方向へと広がっています。例えば自分史の製作は、自分が生きた証を後世へ残したいという願いの現れです。
生前葬も同じく、遺された人に負担をかけたくないという理由や、自分で感謝の気持ちを伝えたいという動機から、注目を集めるようになりました。
また、自由な形式で葬儀を行える点もメリットです。一般的な葬儀は仏式・神式・キリスト教式などとある程度定型がありますが、生前葬にはそれがありません。パーティ形式にするもよし、ビンゴやカラオケなどのイベントをするもよし、楽しい雰囲気で式を進めることができます。
さらに遺族に負担がかからないことも、生前葬の利点です。一般的な葬儀は、平均200万円の費用がかかります。しかし自費で生前葬をすれば、死後に葬儀を執り行う必要はなく、内容の工夫によっては費用の節約もできます。
また、生前葬に際して遺産関係も整理・決定することが多いため、死後の相続問題が生じる可能性も低くなります。
総じて、自らの望む形で社会的な人生の幕を閉じること、遺された人びとに迷惑や負担をかけないこと、この2点が生前葬の大きなメリットといえます。
もっとも懸念されるのは、周囲の理解が得られるかどうかです。「終活」の浸透など、死に対する社会的な意識はずいぶん変わってきました。生前葬の認知度も上がってきましたが、それでも死はデリケートな問題であり続けています。そのため、家族・参列者の理解や賛成を得るのに時間がかかる場合があります。
また、参列者に関しては、内容のイメージがつかない、慶弔休暇がとりづらいというデメリットも挙げられます。どのような式を行うのか、参列者はどのような準備をすれば良いのかをしっかり伝え、皆が集まりやすいスケジュールを検討することが大切です。
家族に関しても、配慮が必要です。家族に負担をかけたくないために生前葬を行っても、亡くなった後に家族の気持ちの整理がつかず、葬儀を執り行う場合があります。その場合は小規模な家族葬がほとんどですが、お互い納得いく最期を迎えるために、しっかり話し合い、理解しあうことが重要です。
まず「終活」関連の団体ですが、現在都市部を中心に、エンディングノートや葬儀などの相談に応じるNPO団体が増加しています。生前葬についての知識を持っている団体もありますので、ご自身のお住まいの近くで活動しているNPOを探してみましょう。
また葬儀会社によっては、生前葬を請け負っているところもあります。具体的な予算や内容を相談でき、いっそう生前葬が現実的になりますので、こちらに問い合わせてみるのもお薦めします。
さらに、これらの団体・企業が行っているセミナーもあります。セミナーのメリットは、会場で、同じ願いをもった人びととの繋がりができることです。そのような仲間と相談しあいながら、自らの望む生前葬に向けて準備を進めることで、いっそう充実した式になるでしょう。
信頼できる相談先をみつけることが、納得いく生前葬に向けての第一歩なのです。
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