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そもそも「彼岸(ヒガン)」というのは、仏教の考え方で、私たちが生きている世界「此岸(シガン)」に対して、ご先祖様がいらっしゃる世界(=極楽浄土)のことを言います。春分の日と秋分の日は、此岸と彼岸がもっとも近づくといわれています。その日に、ご先祖様のことをおもうことで、自分たちも極楽浄土に近づけると信じられています。
このように、もともとは宗教行事でしたが、いまではお墓参りに行く日、と認識している方も多いかもしれません。ご先祖様が私たちの世界にやってくる「お盆」とはちがい、極楽浄土にいるご先祖様を想うことで、私たちも極楽浄土に行けることを願う日なのです。
※お彼岸の風習や言い伝えは地域によって異なります。ここで紹介するのは、代表的なものです。
お彼岸は、春分の日・秋分の日当日の前後それぞれ3日間=計7日間のことをいいます。
たとえば、2023年の場合は春のお彼岸:2023年3月18日~3月24日 (春分の日:3月21日)秋のお彼岸:2023年9月20日~9月26日 (秋分の日:9月23日)
この期間にお墓参りやお墓の掃除、仏壇へお供え物などをします。特に、やることにきまりがあるわけではありません。ご先祖様を想い、供養することが大切です。したがって、ぼたもちやおはぎだけでなく、ご先祖様が好きだった食べ物やお花をお供えするとよいでしょう。
期間中であれば問題ありませんが、国民の祝日である春分・秋分の日にお墓参りに行く方は多く、墓地や霊園は込み合います。
仏教の教えでは、この期間に修行をすることで、より極楽浄土へ近づけるとされています。
前述したように、夜と昼の長さが同じ春分の日と秋分の日は、彼岸と此岸が最も通じやすくなる日です。したがって、春と秋のお彼岸に意味の違いはありません。どちらも、ご先祖様をご供養することで、自分たちが極楽浄土へ行けることを願います。
ただし、お墓にお供えするものの呼び方に違いがあります。お彼岸では、あんをおもちで包んだものをお供えします。これを、春の彼岸では「ぼたもち」、秋の彼岸では「おはぎ」と呼びます。食べ物自体はおなじですが、それぞれの季節に旬を迎える植物「ぼたん」と「はぎ」になぞらえて呼んだ先人たちの奥ゆかしさに脱帽してしまいます。
ちなみに、俳句や短歌の世界では「彼岸」は春の季語で、春の彼岸のことを指します。秋の彼岸のことは「秋彼岸」といい、こちらが秋の季語です。インターネットの検索では、「彼岸」という言葉は秋の方が調べられているので、時代がうつり変わる中で「彼岸」と聞いて思い浮かぶのは春から秋に変化しているのかもしれません。
まずはお彼岸に限らず、仏壇やお墓にお供えするのにおすすめの花をご紹介します。
キクは季節を問わずお花屋さんで入手することができます。暑さ寒さに強く、屋外でも美しい姿のまま長持ちします。また、古くから「邪気を払う花」と言い伝えられていて、仏壇やお墓に供えるのに良いとされています。
母の日でおなじみのカーネーションは、花言葉のひとつに「感謝」があり、お供えのお花にぴったりです。1年間を通してお花屋さんで入手することができます。キクと同じように、暑さ寒さに強く、屋外で直射日光をあびても元気に咲き続けます。お水につく部分の葉っぱをとってあげると、根腐れせずより長持ちします。
つづいて、春のお彼岸の時期におすすめのお花をご紹介します。
春が旬のお花で、1月ごろからお店で見かけるようになります。香りが強く、その甘い香りが天まで届きそうです。近頃は染めたスイートピーもたくさん出回るようになり、いろいろな色で華やかなお供えになります。
背が高く、まっすぐな花姿が印象的なお花です。この時期、お葬式の祭壇や供花につかわれることもあり、大変人気です。ストックをつかうことで、お供えが全体的に大きく見え、華やかになるのでおすすめです。
街中の花壇や学校では4月ごろにおなじみのチューリップは、お店では寒い時期から出回っています。春と言ったら思い出すお花をお供えして、ご先祖様に春の訪れを報告してみるのもいいかもしれません。
昼と夜の長さが同じ、春分・秋分の日は、私たちが住む世界とご先祖さまたちがいらっしゃる極楽浄土がもっとも通じやすくなる日です。その前後にご先祖様を供養することで、私たちも極楽浄土に近づくことを願います。
ご先祖様を思って、ぼたもちや旬のお花をお供えしてみてください。信じる宗教に関係なく、ご先祖様をご供養するときを持つチャンスとして、そして日本の文化として大切にしていきたいものです。
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