徐々に増えてきている両家墓とは?両家墓にする場合の注意点は?

実は昔から存在する両家墓とは?

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両家墓とは2つの家を1つの墓に合祀したもので、最近になってからできたタイプの墓ではなく昔からある墓の形式です。

墓を受け継ぐ子供がいない・1人娘が嫁いでしまったなど将来的に墓を維持できない時に利用されます。

スタイルは2種類で、1つの墓石に2つの家名や家紋を並べるタイプと墓所の敷地が広くそれぞれの家名が書かされた墓石を並べるタイプです。
両家で新しく建立するケースもありますが、それぞれ別の場所にあった墓を改葬して1つの墓にまとめるケースが主流になります。

メリットは墓参りが1度で済み、墓の維持・管理しやすくなる点です。
デメリットは手続きが煩雑で、1か所で相談や打ち合わせが終わらないので時間も費用もかかります。
ただ将来的に墓の維持・管理する者の負担を軽くでき、墓を承継する者がいない不安を払拭する事が可能です。
本家と呼ばれる墓は親族の反対が予想されるため時間をかけて検討することが大切です。

両家墓は墓地選びがポイント

両家墓は公営墓地の場合許可されないケースがあります。
墓の維持・管理責任がどちらの家にあるのか分かりにくくなる場合があるためです。

比較的民間霊園や寺院墓地は受け入れてもらえますが、宗教や宗派が違う墓地からの改葬を嫌がる寺院もありますので事前に確認します。
宗教や宗派が違う寺院の場合にどちらかの家が改宗・改派の必要があるかもしれません。
受け入れが非常に困難な問題ですが両家でどうするのかを明確にしておくことが大切です。
民間霊園は宗教や宗派を問わないので受け入れてもらいやすいですが、墓石に2つの家名を入れる事を禁じたり承継できる親等が限られる場合がありますのでNGポイントを把握しておくべきです。

墓地は両家にとって交通アクセスが良く、信頼できる住職(管理人)がいるか確認する必要があります。
車で来訪した時に駐車場の数は十分かチェックする事は大事です。
年をとって足腰が弱くなった時にお参りしにくければ意味がありません。

親族の了解を得る事が大事

両家墓は墓に入る者だけで決めれば良い問題ではありません。

中には先祖代々の本家の墓だから絶対にダメだと言う親族がいる可能性があります。
維持管理をしていない親族でも自分の親兄弟が入っていれば意見を聞く必要があります。
そこで「維持管理している我々の問題だ」と突っぱねる事は親族トラブルに発展してしまうので、キチンと経緯について説明します。
関係者の許可を取らないと今後親族の葬儀や結婚式に呼ばれないなどお互いに嫌な思いをするかもしれません。

墓を守る為に必要不可欠な事態である旨を説明して理解してもらえるように努力します。
両家墓にする経緯が長ければ手紙に書いて渡すなど、相手に理解してもらいやすい工夫が必要です。
面倒な問題ですが、疎かにすると痛い目にあう可能性が高いので関係する親族の心情に配慮します。
事後承諾や連絡せずに事を進める事はトラブルの元になりますので絶対に避けるべきです。

墓石の家名はどうするのか?

両家墓にする場合に墓石に2つの家名を並べるケースが多いですが、注意すべきポイントが隠されています。

まず墓地によって墓石に2つの家名を彫刻できない場合がありますので事前に確認する事が大事です。
彫刻を家名でなく家紋にしたり、和型なら「先祖代々之墓」とだけ彫る方法もあります。
洋型なら「縁」など繋がりを感じる言葉を入れるのも手です。

仏教用語に「倶会一処」があり、極楽浄土に往生して縁のある者同士が共に眠る意味があります。
両家墓に彫る言葉の選択肢の1つとして頭の隅に置いてください。

家名にした場合に後々承継する者が同じ家名とは限りません。
もしかして自分の子も姓が変わる可能性がありますし、甥や姪が引き継ぐ可能性も十分考えられます。
家名を入れない場合でも両家墓にした経緯を墓石の脇に彫っておくと良いかもしれません。
後々承継した者が「なぜ両家墓なのか」知る手がかりになります。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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