【お墓のリフォーム】墓石の耐震工事・耐震加工

必要性が高まるお墓の耐震工事

【お墓のリフォーム】墓石の耐震工事・耐震加工 class=
お墓は滅多に手を入れるものではありませんが、それだけにリフォームをするときには長くその姿を保ち続けられるような状態にしておきたいものです。
特に、近年では国内で大規模な地震が頻発しており、ほぼ全域において震度5以上の地震が起こりうると判断されている現状ですので、耐震工事の必要性が高まっています。

お墓は、一般的に上から順に竿石、上台、中台、芝台と呼ばれる石で構成されており、それぞれの接触面をセメントで接着しています。
これらの石は、上部に行くにしたがって面積が小さくなるようにそれぞれの石をずらして重ねていきますので、セメントによる接触面もそれほど大きくはありません。

また、セメントは乾燥や経年による収縮が起こることで接着力が低下し、長期的にそのままの状態で放置しておくと、接着剤としての効果はほとんど失われます。
その結果、震度5強の地震が生じると竿石が倒れるといわれます。

墓石の耐震加工の内容

お墓の地震対策には、大きく分けて耐震工法と免震工法の二通りがあります。

耐震工法は、施工する業者にもよりますが、震度7の地震にも耐えることができますし、長期的にその強度を維持できます。基礎から丁寧に施工しますので、新たにお墓を建てるときに特に検討していきたい方法ともいえます。

大まかな手順としては、基礎は厚さ12cmの鉄筋コンクリートで、中央に水抜き穴を配置します。
外柵は基礎のコンクリートに固定し、芝台、中台、上台、竿石は全てステンレスの鋼棒、アングル、アンカーで固定しますので、強い地震が来ても倒れる心配がなくなります。
さらに、竿石は上台と貫通ボルトで固定していますので、震度の大きい地震が発生した時でも竿石だけが倒れるといった事故の心配がほとんどありません。
地盤によってある程度の差は生じますが、かなり耐震性能がアップしますし、見た目には通常のお墓と変わりません。

墓石の免震加工の内容

免震工法は、上部と下部の構造物の間に免震装置を取り付けて、下からくる地震の揺れを伝えにくくする工法です。耐震工法に比べると比較的容易に施工できますので、リフォームではこちらを選ぶ施主も多いです。
とはいえ、震度6強よりも強い揺れにも効果があると実証されていますので、こちらも安心して利用できます。

まず、免震墓石は専用のデザインの石塔を採用し、下部構造物の外構の中にはステンレス製の板を取り付けます。
また、上部にはすべり支柱を4か所取り付けて、揺れが生じたときには上部の構造物がステンレスの板の上をすべり、必要以上に揺れが伝わらないようにしています。
また、強い地震にも対応できるように、上部と下部の間の4方向にスプリングを設置して、上部の動きを制御しています。外柵は、従来の耐震工法と同じように施工します。

この工事のメリットは、特別な補強の必要がないこと、耐震工法のように上部と下部が一体となっていないため、地震のときに過度の力が加わらないことなどです。

お墓の耐震工事の費用・相場

地震がいつどこにやってくるかわからない以上、お墓の地震対策は必要です。
ただ、費用がどれくらいになるのかがわかりづらいため、なかなか二の足を踏んでしまう人も多いのが現状です。

耐震工事の場合、一からお墓を作る作業になりますので、墓石の質やデザインなどによって大幅に異なります。
耐震工法込みのお墓の新設費用の相場は、80~200万円程度といわれています。
もちろん、耐震工事だけの場合には金額は安くなりますが、従来のお墓を耐震工事にする場合、墓石の状態などにもよってこの施行ができないケースがあります。
その時は、免震工法で対応しなければなりません。

免震工法の場合、免震素材を墓石に設置するだけというシンプルなものもあり、これならば一基3~5万円程度からあります。
ただし、外柵の工事などは別料金となりますので、石材店に相談しましょう。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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