こんなはずじゃなかった!【墓石はクーリングオフできるか?】

そもそもクーリングオフとは?

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クーリングオフとは、商品の購入契約を結んだ消費者に対して、その商品が効用にかなっているのか冷静に判断する時間を与え、期限内であれば無条件で契約を撤回できることを定めた特別な制度のことです。頭を冷やして考え直すことから、「cooling off」という名称がつけられました。
一方で、取り消すことができる売買契約は政令で決められており、全ての商品・サービスに適用されることはありません。クーリングオフについて定めた最も主要な法令である特定商取引法においては、訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引などがその対象と定められています。
これらの取引で取り交わされた契約をクーリングオフによって契約解除を行うためには、申込日を含めた8日以内に通知書を送付する必要があります。販売業者はこの通知書の発送に基づいて、キャンセル料などを一切発生させることなく契約を取り消す義務を負います。

墓石はクーリングオフの対象か?

クーリングオフの対象は法令によって細かく定められていますが、特定商取引法などで定められた取引形態により販売される商品のほとんどは、クーリングオフの対象であると考えて差し支えありません。
即ち、墓石も『商品』として販売されたのであれば、十分クーリングオフの対象となりえます。墓石を立てる土地の貸借契約も並行して結んでいる場合の契約解除は複雑になってきますが、少なくとも石材店などと取り交わした墓石を購入する契約はクーリングオフすることが可能です。
墓石の購入においては、単なる売買契約だけではなく、寺院との付き合いや信仰のあり方なども絡んでくるため、簡単に契約解除を申し込んで良いのか不安に駆られる人も多くいます。しかし、墓石は数十年に渡って故人の業績を顕彰しつつ、先祖を偲ぶためのシンボルとなるものです。そのため冷静になって長期的視野で吟味してみた際に、売買契約を結んだ墓石が適当ではなかったと気付くことはままあります。クーリングオフは、そうした際における重要な救済策であると言えるでしょう。

墓石はどんな場合にクーリングオフの対象となるか?

墓石はクーリングオフの対象ですが、取り交わされた売買契約の全てが無条件で解除できるというわけではないので注意が必要です。
特定商取引法が定めているクーリングオフの対象となる取引形態は、上述の通り訪問販売や電話販売などの販売業者側から取引を持ちかけられるものに限定されます。逆に、購入者の側から石材店を訪れて購入を持ちかけた場合や、檀家となっている寺院を通して石材店に墓石の購入を依頼した場合などはクーリングオフ対象に含まれないことが一般的です。このような場合で売買契約を取り消したい時には、購入者には契約書が定めるキャンセル料などを支払う義務があります。
一方で石材店や霊園を訪れて墓石を購入した場合でも、電話や招待状などの案内による来訪であれば、それは訪問販売とみなされてクーリングオフの対象とみなされることもあります。このような場合は売買契約書の内容をよく読み、クーリングオフが可能かどうかを事前に把握しておくよう心がけなければなりません。

クーリングオフする場合の手続きはどうすればいいか?

実際に墓石のクーリングオフを実行するに当たって、まず申込日から8日以内であるのかを確認しなければなりません。8日を過ぎると、契約書に記載された購入者としての義務を履行する責任が生じるため、契約解除には相応のキャンセル料がかかります。
クーリングオフ可能期間であれば、その通知書を売買契約を結んだ業者に送付することになります。通知書は業者が用意している所定の様式がある時はそれを利用します。そうした様式が無い場合は自分で通知書を作成しなければなりません。一見すると難しそうですが、クーリングオフは元来消費者を救済する措置であるため、簡易的な内容であっても十分効力を発揮するように法令で規定されています。
まず官製はがきに、契約を結んだ墓石の名称・金額・売買契約を結んだ日・墓石販売店の名称・契約者の住所および氏名とともに、クーリングオフしたい旨を明記します。これに押印と署名を付すことで、通知書としての効果が発揮されます。8日ぎりぎりの発送になった場合は、郵便局で直接当日の消印を押してもらうようにすると良いでしょう。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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