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例えば、地方での高齢者が良く使用する交通手段はマイカーであることが指摘されています。都市型のライフスタイルなどの時代背景で、子供世代が都市部での生活をしていたり、過疎化によりバスや鉄道の運営が賄えず、路線が無くなるなどの理由で必要に駆られて高齢者が自動車を運転せざるをえない状況が多く見られています。
また全国の高齢者ドライバーの中には、認知症の症状がある人も少なくはありません。2014年では高齢者による死亡事故件数のうち4割程のドライバーに認知症が疑われ、また近い将来には認知症の高齢者は5人に1人の割合になるとも想定されています。高速道路へ侵入し逆走してしまうなど、認知行動の低下が招く甚大な交通事故を防止するために、運転免許証更新の際に認知症であるかを判断する講習予備検査が設けられています。
講習予備検査では、検査を受けているその日の年月日と曜日、時間を答える「時間の見当識」や、時計の文字盤を自身で描いた上で、時計の文字盤の中に指定された時刻通りの短針と長針を描く「時計描写」、示されたイラストを憶えておき、採点とは無関係の課題を行った後に初めに記憶したイラストがどのようなものであるのかを回答し、更に出されたヒントに沿っての回答をする「手がかり再生」の3種類の検査を行います。採点により3段階の評価を出し、記憶力と判断力が低い・少し低い・心配のない人として判定がされます。
低いと判断された認知症の恐れのある人は、それまでの違反経験の有無に依らず医師の診断を義務づけられます。医師によって認知症と診断された人は免許の停止や取り消しとなり、認知症では無いと診断された人も違反が一定以上の場合には、臨時の認知機能検査を受ける必要があります。
また、ドライバー自身が高齢であることを踏まえて運転能力に対し過度な自信を持たず、事故に繋がることの無いように確認を怠らないような余裕のある運転を心がけることも大切です。
自分が出来ること出来ないことを見極めた上で安全運転を心がけ、ルールを厳守した上で自分なりの運転方法を考えることや、自分の運転能力を的確に判断するために、教習所での運転能力診断を定期的に行うなどをすることも必要です。
認知症のドライバーの多くが、位置を把握することが困難になります。運転時にセンターラインを超えて走行することや、ブレーキへの反応が遅くなり運転に危険が生じる、信号無視などの行動が見られます。
家族の運転行動に認知症の疑いを感じたら、重大な事故に繋がることを考えて運転しないことを本人に説得し、運転免許証の自主返納を促します。この際に、ドライバー本人が認知症を自覚していないこともあり、無理に自動車を取りあげるような説得の仕方をすれば逆効果となります。家族が認知症になった場合は、まず認知症を正しく知り、理解することが必要になります。認知症である本人が自主的に運転をやめることを決断できるよう促す、家族の気づかいが大切です。
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