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ここまではごく普通の流れなのですが、問題は死亡した男性が重度のアルツハイマー病だったという点です。つまり意図的に線路に飛び込んだのでなはなく、病気によって徘徊し、不本意に事故に遭ってしまったということを遺族は主張します。
ただ、JR東海は遺族が目を離した隙に徘徊してしまい事故に遭遇したので、しっかりと見張っていれば事故は発生しなかったと主張します。アルツハイマーという病気だから仕方のないことだったのか、それともJR東海の主張のように防げた事故だったのかという点が争点です。
二審判決では一審判決と内容が少し変わり、長男の責任は認めずに男性の妻だけの責任だという判決になりました。介護方針を主導したのは長男でしたが、同じ屋根の下で暮らしていた訳ではなく、事故のことはまさに寝耳に水という状況でした。
しかし、男性の妻は一緒に暮らしており、男性はアルツハイマー病であり十分に監視しておかなければならない状況なのにも関わらず、目を離した隙に徘徊に至ってしまいました。男性の妻も要介護1の身障者ではありましたが、監視能力は持ち合わせていたとして、二審判決では責任を認定されました。
男性の妻も一人の人間ですから、トイレにも行きたくなりますし眠気を催すこともあります。にも関わらず一瞬も目を離さずに監視することは到底不可能なことだという判断に至ったのです。もし一瞬も目を離さないことが正しい監視方法であるとするのであれば負担が大きくなり、過酷な生活を強いられるという主張も認められました。
それだけでなく、結果的に防げませんでしたがデイサービスを利用する見守り体制を組むなどして、徘徊などの問題行動を阻止する手段をとっていたことも責任がないと判断された一つの要因となりました。
人による監視はどうしても隙ができてしまうので物理的に徘徊を防ぐ手立てを考えなければいけません。ドアや窓に、扉が開かないように徘徊防止用の鍵を取り付けることが有効な手段となります。もし認知症患者が破壊して徘徊してしまったとしても、対策を講じているので責任を追及される可能性は低くなります。
ただ、狭い部屋に閉じ込めるなどをすると、やり方によっては監禁となってしまう可能性もあるので、注意しなければいけません。
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