老後のお金を守る!「退職金」と「税金」で知っておきたいポイント

会社を辞めて退職金をもらう場合は所得税がかかる

老後のお金を守る!「退職金」と「税金」で知っておきたいポイント
会社を辞める場合には、勤続年数やそれまでの給料などにより計算された退職金がもらえる場合があります。すべての会社に退職金制度があるわけではありませんが、大企業などの場合は退職金がもらえることがほとんどでしょう。このお金は老後の生活資金等として期待できるかもしれません。
退職金をもらった場合には退職所得として所得税が課税されます。退職所得とは、会社から受け取る退職金額から勤続年数により計算した退職所得控除を差し引いた残額に2分の1を乗じた金額です。この金額に超過累進税率を掛けることで税額が計算され、その税金は源泉徴収されます。
但し「受給に関する申告書」と呼ばれる書類を提出していない場合は、20%の源泉徴収が行われることになるでしょう。正式な計算により算出した金額より多い所得税が源泉徴収されることになるケースがほとんどですので、この場合は確定申告することで還付を受ける必要があるはずです。

退職金は老後資金や相続財産として運用する

退職金は勤続期間が長くなれば多額になることもあるでしょう。そのお金をどう使うか、どう運用するかについて計画することは大切なことかもしれません。
もちろん単純に老後の生活費として預金しておくだけという選択肢もあるでしょう。しかし、リスクを抑えながら運用することによって、物価上昇に負けない資産価値を維持することも大切かもしれません。
さらには、自分が死亡したあとに遺産として残すことを想定して運用しておく場合もあるでしょう。相続が発生した場合にも税金はかかります。預金や金融商品で運用する場合は、原則として、相続発生時の時価が課税対象となります。相続税は最高税率が55%であり、何の対策もしていない場合は、税負担が多額になる可能性もあります。預金で持つ方法は、納税資金対策や分割しやすさから考えると有効ですが、資産評価を下げたいと考える場合は、退職金を不動産投資等に振り向けるのもいいかもしれません。

退職金の活かし方を考える場合は税引き後で考える

もらった退職金を、生活費に充てていくのか、余裕資金として運用するのか、または住宅ローンの繰り上げ返済資金にするのか、さらには将来の遺産分割のためにとっておくのかは、それぞれが置かれている状況によってどれが最適なのか変わってくるはずです。
しかし、どんなケースでも共通している点があるかもしれません。それは、運用であれ保有であれ相続であれ、税金の負担を考慮した上で活用方法を決めた方が良いことでしょう。運用や保有、相続それぞれの局面で、かかってくる税目が所得税だったり相続税、贈与税だったりと変ります。課税対象金額が同じだったとしても税率に差があります。そのため、自分が活用したいシナリオが決まったら、税負担のシミュレーションをしてみるといいでしょう。複数のシナリオから、税負担の軽さも含めて一番いい方法を選択するというやり方をとるのがお勧めです。
退職金はせっかくのまとまった収入になるでしょうから、無策で使ってしまわないようにしたいものです。

死亡退職金と相続税について

「退職金」といった場合には、通常は定年退職等で生きていて会社もらう退職金を想像することがほとんどでしょう。しかし、会社員が死亡した場合に遺族がもらう死亡退職金も退職金の一種です。
死亡退職金は遺族がもらいますが、被相続人が死亡時に持っている固有の財産ではありませんので、民法上の相続財産には入りません。しかし、実質的に被相続人の死亡によって生まれるお金ですから、もらった遺族に対してはみなし相続財産として相続税が課税されることになるでしょう。死亡後3年以内に支給が決定すれば相続税の対象ですが、3年を超えた支給される場合は、受取人の所得税の対象になります。
但し、すべての収入金額が税金の対象になるわけではありません。1千万円に法定相続人の数を乗じた金額の非課税枠が設けられていますので、税負担が問題になるケースは少ないでしょう。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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