「シニア海外ボランティア制度」とは?

培った経験を海外で生かす、それがシニア海外ボランティア制度

「シニア海外ボランティア制度」とは? class=
政府がODA(政府開発援助)の一環として行っているボランティア派遣制度としては青年海外協力隊がとても有名です。これは原則として20~39歳までの方に限られています。しかし、40歳以上で海外ボランティア活動をしたいという方のためにあるのが、シニア海外ボランティアです。シニア海外ボランティア制度とは社会経験を積んだ方たちが自分の経験を海外で生かし、途上国の発展に寄与することを目的としています。これは1990年にシニア協力隊として発足したものですが、1996年にシニア海外ボランティアと改称されました。
実施しているのは、外務省所管の国際協力機構、JICA(ジャイカ)です。
応募資格は、日本国籍を有している40~69歳で、2年間現地で活動できる方。また、活動期間が2年間と長いので、健康診断書の提出も求められています。
毎年春と秋に募集が行われており、書類選考と面接という2度の選考を行い、合否を決定します。

求められるのはかなり高度な知識と経験

JICAが募集するシニア海外ボランティアは現在も約500人が活動中で、発足から延べ人数にして約5600人が派遣されました。
どの職種にも志望者は多く、競争率は高い状況で、採用者1人の職種に5~6人の応募者が必ずいます。特に、日本語教育に対する応募がとても多く、数人の定員に対して数十人もの応募があるという非常に狭き門となっています。
青年海外協力隊は、はっきり言って若さと情熱があればOKという感じで、専門的な知識がない方でも、何か得意なことさえあれば合格することもあります。けん玉が上手でアフリカにけん玉を教えに行ったという人も中にはいました。しかし、シニア海外ボランティアはそういうわけにはいきません。派遣されるのは現地の行政機関や研究機関、学校などです。求められるのは今まで培ってきた高度な専門知識や技術です。派遣国の職員に対して指導する立場にもなりますので、少なくとも英語によるコミュニケーション能力が必要になります。

充実した現地での待遇と不安のない帰国後

海外でのボランティア活動で最も不安になるのは、派遣国でちゃんと生活できるのかどうかということではないでしょうか。派遣される国はほとんどが途上国ですから、気になるのは無理もありません。
JICAのシニア海外ボランティアでは、まず派遣国への旅費はJICAが負担してくれます。住居は受入国が提供してくれることになっています。また、毎月570~1660ドルが生活費として支給されます。支給額は現地の物価水準によって決められており、現地で日本人が生活の質をそれほど落とすことなく生活できる額が支払われます。さらに、1月5万5000円の国内手当が支給されますので、任期が終了して日本に帰ってきても路頭に迷うということもありません。
老後のためにと蓄えておいたお金を切り崩すことなく、心置きなく海外で活動ができるというのもシニア海外ボランティアが人気のある理由といっていいでしょう。

中南米での日系社会ボランティアや短期ボランティアも

JICAのシニア海外ボランティアは、採用されるには高い競争率を勝ち抜かねばなりません。また、高度な語学力も求められます。高い専門知識はあるものの、外国語はちょっと苦手、そんな方には中南米の日系人社会でのボランティア活動もあります。中南米には明治期から日本人が移民として海を渡り、現地に日系人社会を作り上げました。ブラジルやペルーには大きな日系人社会があります。日系社会シニアボランティアはこうした日系人のコミュニティで働く仕事です。
日本語が通じる場所ですから、難しい語学の試験は今まではなかったのですが、2016年から語学試験も実施されることになりました。応募したいと思っている方はスペイン語やポルトガル語を勉強しておく必要があります。
また、任期2年は長い、健康状態を維持できるか不安という方には短期ボランティア制度もあります。これは、派遣期間が1年未満と短いので、長期間の海外生活に不安がある方に向いています。募集には2つのタイプがあり、JICAのボランティア経験者と未経験者に分かれています。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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