【葬儀のマナー】弔辞をお願いされたときはどうすれば?

弔辞をお願いされたときは

【葬儀のマナー】弔辞をお願いされたときはどうすれば? class=
弔辞とは、葬儀の時に読み上げる文章で、内容は故人を偲んで別れを惜しむ言葉です。

弔辞は主に故人に向けて送るメッセージという形をとっていますが、大切な人との別れで傷心の遺族を慰める言葉でもありますので、遺族からのお願いがあれば下手に謙遜せずに謹んで引き受けるのがマナーです。
もちろん、やむを得ない特段の事情があるときにはその理由を述べてお断りすることもできますが、故人のため、そして遺族のためにもその場で引き受けて、できるだけ気持ちを込めた言葉を考えることをお勧めします。

ちなみに、遺族からお願いされなかった場合でも、どうしても個人や遺族に伝えたい言葉があるときには自分で弔辞を述べたいと申し出ることができます。
その場合には、葬儀の前日までに遺族か世話役に申し出て、相手から承諾を得られたら弔辞を述べるという流れになります。
先方の準備もありますので、失礼にならない程度に早めに申し出ることが大切です。

弔辞の構成について知る

弔辞の構成は、大体共通しています。まず、故人に呼びかけて、亡くなったことに対する驚きや悲しみなどの気持ちを述べます。
続いて、自分自身の故人との思い出を簡潔に語ります。
参列者との面識があまりないときには、自分と故人との関係を簡単に紹介し、故人の人となりがうかがえるようなエピソードを選ぶとよいでしょう。
それから、故人の経歴や人柄、功績などを紹介し、その努力や姿勢をたたえたり、感謝の気持ちを伝えます。素直な気持ちで表現することで、自分の気持ちが伝わります。
その後、故人との別れで悲しみに暮れている遺族に対して、励ましの言葉や慰めの言葉などを伝えます。
失礼にならないように言葉を選びながら、相手の気持ちに寄り添い、心を込めて伝えるようにします。
最期に結びの言葉で締めくくりますが、これは宗派によっても若干異なります。仏式の場合には「安らかにお眠りください」などが多く用いられます。

弔辞を考えるときに注意するポイント

弔辞の文章を作るときには、忌み言葉にあたる「重ねがさね」「度々」「益々」などの言葉は使いません。
不幸な出来事が重なるという暗示になりますので、「また」や「再び」などの言葉も避けます。
文章を考えているときには、うっかり挿入してしまう恐れがありますので、一度全体を作成してから重なっている言葉がないかをチェックすることをお勧めします。

文章の長さは、だいたい1200文字前後が目安になります。
あまり長すぎても遺族や弔問客の時間をそれだけ消費することになりますし、短すぎては故人や遺族を軽視しているように感じられるため、長すぎず短すぎないバランスを考慮して作成する必要があります。

作文するときには、あまり主観的になりすぎないことが重要です。
代表して弔辞を読み上げるとはいえ、悲しい気持ちは遺族や弔問客も同じです。
弔辞を聞いて、自分たちなりの故人との思い出を偲んだり、悲しみを意識できるような文章が理想的です。

弔辞を読み上げるときは

弔辞は、文章を作成したら終わりというものではありません。
どれほど優れた文章でも、コピー用紙などに印刷されたものを読み上げる姿を見ると、せっかくの気持ちがビジネスライクなものに思えてきます。

正式な弔辞は、巻紙か奉書紙に楷書で手書きをします。
薄墨を使って自分で気持ちを込めて書き、奉書紙に包んで、表に「弔辞」と書いたものが本来の弔辞です。
ただ、最近では簡略化して、白い便せんに万年筆で手書きをして、白い封筒に入れたものでもよいとされています。
とはいえ、読み上げた弔辞は祭壇に捧げて人目につきますし、葬儀の後で遺族が保管することもあります。
準備が可能であれば、きちんとしたものを用意しておくにこしたことはありません。

弔辞を 読み上げる時は、遺族や参列者に聞き取れるように意識します。
ゆっくりと、弔問客にも聞き取れるような声量で言葉を区切って話しかけるように意識しましょう。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
あわせて読みたい